第404回 フィールドワークの醍醐味を語る マヤから世界へ ─私のフィールドワーク体験

演題
フィールドワークの醍醐味を語る
マヤから世界へ ─私のフィールドワーク体験

内容
メキシコのマヤの村での滞在型の調査から始まった私の研究は、今では世界各地でのインタビューが中心です。それでもやはり人びととの何気ないやりとりからはおもしろい情報が得られることが多いように感じます。私のフィールドワーク体験をお話します。

講師
鈴木 紀(国立民族学博物館准教授)

日時
2012年2月4日(土) 14時~15時

場所
国立民族学博物館2階 第5セミナー室

定員
96名(先着順)

備考
■友の会会員:無料

第64回体験セミナー 進化する日本酒造り ─ ─伏見から世界へ 

第64回体験セミナー 進化する日本酒造り ─ ─伏見から世界へ

2012年2月26日(日) 10:30~16:00

近年、日本だけでなく海外でも日本酒への人気が高まりつつあります。京都・伏見の老舗蔵元を訪ね、日本酒をとりまく現在の状況について学びます。

午前中は伏見の酒造りを考える上で欠かすことのできない御香宮神社で、伏見の歴史と水、酒造りについて三木善則宮司にお話いただきます。お昼は魚三楼にて京料理を味わいます。

午後からは月桂冠大倉記念館を訪ね、月桂冠総合研究所所長の秦洋二さんに最新の日本酒造りについてお話いただきます。杜氏の伝統の技と知恵を、最先端の技術を融合し、酒造りを進化させている老舗蔵元の取り組みについておうかがいします。また、月桂冠の海外展開の様子など、世界の中での日本酒についてもお聞きします。月桂冠がカリフォルニアで造っている日本酒も取り寄せていただくことになりました(日本では販売されていないものです)。飲み比べも楽しみたいと思います。お話の後には、記念館で伝統的な酒造りの過程を頭に入れた上で、最先端の酒造りの現場も特別に見せていただきます。

セミナーには「日本酒で乾杯推進会議」代表でもある石毛直道先生もご同行いただきます。春を間近に控えた京都・伏見で、おいしいお酒を味わいながら日本酒事情についてお話をうかがいます。


第64回 進化する日本酒造り-─伏見から世界へ 実施報告

石毛直道先生にご同行いただき、伏見の酒造りの今と昔を学びました。午前中は御香宮神社で三木善則宮司から伏見の歴史や文化財の保存・継承について興味深いお話をうかがいました。

午後からは月桂冠大倉記念館を訪ね、月桂冠総合研究所所長の秦洋二先生から、酒造りの歴史と発展、現在の研究についてなどのお話をうかがいました。さらに大型機械を用いた現在の酒造りの現場にも特別にご案内いただきました。ほかにも秦先生のはからいでカリフォルニア産の日本酒を味あわせていただいたり、石毛先生から世界のお酒についてお話を聞くなど、盛りだくさんの一日でした。

参加者からの感想をご紹介します。

佐藤芳郎さん
製造現場で研究しておられる方々の話をきくことができ、日本酒の理解をふかめて、日々たしなむことが可能になると思う。<中略>アメリカで月桂冠がつくった酒は、すきとおるおいしさをかんじました。

武谷要子さん
日本酒は日本人的カテゴリーではちょっと古く「昭和の香り」とか「和風」に語られがちですが、一方でというかビジネス故か、海外での酒造りが右肩上がりなのは面白いことです。日本酒の今昔も興味深く、アメリカ発の日本酒試飲も珍しく、充実して楽しい一日でした。


御香宮神社で三木宮司の説明を聞く。
壁画や門の保存、修復、継承についておうかがいしました


月桂冠大倉記念館で青木館長の解説を聞く


月桂冠大倉記念館で青木館長の解説を聞く

第403回 フィールドワークの醍醐味を語る アマゾン川上流のキリスト教文化 -ボリビア、モホス平原の自然と歴史―

演題
フィールドワークの醍醐味を語る
アマゾン川上流のキリスト教文化 -ボリビア、モホス平原の自然と歴史―

内容
アマゾン川流域の南西の端、アンデス山脈との狭間には、日本の総面積の約半分に相当する広大な平原が広がっています。高温多湿の厳しい自然環境における人びとの暮らし、そして西欧との接触以降の複雑な歴史を、わたしの個人的体験を交えてご紹介します。

※講演会終了後、質疑応答を中心とした懇談会を開催します(1時間程)

講師
齋藤 晃(国立民族学博物館准教授)

日時
2012年1月7日(土) 14時~15時

場所
国立民族学博物館2階 第5セミナー室

定員
96名(先着順)

備考
■友の会会員:無料

139号 2012年 冬

機関誌
南方熊楠邸にそびえるクスノキの大木
藤森 武

特集 南方熊楠と民俗学

現代社会は、国境を超える人とモノの移動が複雑化し、自他への深い理解が求められている。さらに、巨大地震や豪雨が多発するなど、自分たちを取り囲む自然とのあいだで、現状とは異なった関係構築の必要性も高まっている。 しかし、我々は、かえって思考が「内向き」になり、自己防衛的態度に陥り、問題解決への積極的な努力を回避してしまっているのではなかろうか。 本特集では、国境・分野の垣根にとらわれることなく、あらゆるものの姿を求め続けた南方熊楠に焦点をあてる。 多くの問題を抱える現代社会は、彼の探究心、行動力を、まさに必要としているものではなかろうか。 膨大な熊楠の思考の軌跡のうち、多分野への展開がとくに顕著な英国時代以降に焦点をあて、現代を生き抜くために必要な示唆を模索する。

特集 南方熊楠と民俗学

南方熊楠とは何者か 松居 竜五

1章 イギリス時代 地球規模の文化交流を探る

熊楠と比較民俗学 ―『神跡考』の民族誌を中心に― 志村 真幸

「英国に住む野人也」
南方熊楠、柳田國男の山人論争とジョージ・ローレンス・ゴム 横山 茂雄

東西思想への視座 ―土宜法龍への書簡を中心に― 奥山 直司

2章 田辺時代 森の多様な世界を追求する

動物の神々への感謝 ―神社合祀反対運動の思想的背景― 田村 義也

熊楠の先見 ―熊野の森と生物多様性― 加藤 真

カミ、人、自然=熊楠が求めた共生の杜 湯本 貴和

南方熊楠と熊野 安田 忠典

3章 「十二支考」 「南方民俗学」の現代的意義

「十二支考」のなかの竜 松居 竜五

犬に関する民俗と伝説 志村 真幸

「十二支考」の猿たち 鈴木 滋

人と動物のかかわりと「十二支考」 東城 義則

チュニジアの結婚式

常見 藤代

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【地域(国)】
東アジア(日本)
アフリカ(チュニジア)

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【執筆者(五十音順。肩書は発行当時のもの)】
奥山 直司(おくやま なおじ 高野山大学教授)
加藤 真(かとう まこと 京都大学大学院人間・環境学研究科教授)
志村 真幸(しむら まさき 京都外国語大学非常勤講師)
鈴木 滋(すずき しげる 龍谷大学准教授)
田村 義也(たむら よしや 成城大学講師)
常見 藤代(つねみ ふじよ 写真家)
東城 義則(とうじょう よしのり 総合研究大学院大学博士後期課程)
松居 竜五(まつい りゅうご 龍谷大学准教授)
安田 忠典(やすだ ただのり 関西大学准教授)
湯本 貴和(ゆもと たかかず 総合地球環境学研究所教授)
横山 茂雄(よこやま しげお 奈良女子大学大学院人間文化研究科教授)

79回 民族学研修の旅 伝統的なタミルのお正月とドラヴィダ文化を訪ねる─*現地の事情により中止となりました。

第79回 民族学研修の旅 伝統的なタミルのお正月とドラヴィダ文化を訪ねる─

2012年1月11日(水)~19日(木)9日間 *現地の事情により中止となりました。

ポンガルはタミル社会伝統の正月行事で、もともとは収穫祭、豊穣儀礼として祝われるものでした。新米をつかった甘いお粥が太陽神に捧げられ、雌牛の額や角も飾りつけられます。タミルナードゥの民俗行事として祝われていたものが、1930年代に国民的な正月行事と定められ、州全体で祝われるようになりました。今回は寺院の町として有名なクンバコーナムを訪ね、このお正月の雰囲気を体験したいと思います。

タミルナードゥはインドのなかでも、その独自性を強く主張している地域として有名です。南インドの人びとには、自分たちは「ドラヴィダ語族に属するのでデカン高原以北のインド・ヨーロッパ語族の人びととは異なる。また、この地域はイスラームの影響をあまり受けていないのでオリジナルのヒンドゥーらしさが受け継がれる、つまりインドらしさがある」という自負があります。南インドが基本的に農民で構成される社会であることも、バラモンやクシャトリアが多い北インドへの対抗意識としてあらわれてくるようです。じっさいに8世紀以降はヒンドゥー教の中心も南インドにうつっていましたので、今回の旅ではこうしたヒンドゥー教、ドラヴィダ文化の歴史と現在にたっぷりとひたれることと思います。民博の南アジア展示場にある山車が収集されたパルタサラティ寺院や40メートルもの巨大なゴープラムがそびえたつカパレーシュワラ寺院、ミーナークシ寺院なども訪問します。ほかにもインドらしらの象徴のひとつであるサリーの工房や現地の人がサリーを買うお店も訪ねます。インドのパワーの一端を肌で感じてみませんか?