142号 2012年 秋

機関誌
ニジェール、水汲みに向かうトゥーブーの女の子
大塚雅貴

灼熱のサハラ砂漠 ニジェールのテネレへ
砂漠に暮らすトゥーブーの人びと

大塚雅貴

ニジェール北部、サハラ砂漠。 トゥアレグ語で「空白の地」を意味するテネレという地域がある。 熱砂うずまく荒涼の大地で、井戸から水を汲み上げ、 家畜とともに生きるトゥーブーの人びとを訪ねた。

国立民族学博物館企画展「記憶をつなぐ―津波災害と文化遺産」関連企画・「復興への道」第二弾
三陸沿岸に生きる

一年半  西岡圭司

追憶の三陸沿岸の村と人  森本 孝

「きりこ」のある風景
再生をつかさどる被災地の切り紙細工  丹羽朋子

南部藩壽松院年行司支配太神楽と国立民族学博物館
企画展「記憶をつなぐ―津波災害と文化遺産」関連イベント
「南部藩壽松院年行司支配太神楽みんぱく公演」に寄せて   橋本裕之

世界をさわる 第1回
さわって楽しむ宇宙の不思議

私たちは日常において、視覚と聴覚に頼って情報を取り込むことが多い。 日常生活にとどまらず、博物館や美術館という鑑賞・学習の現場でも「見学」「観覧」といった視覚中心の鑑賞方法が提示されることが多い。 しかし、ものの本質を知る手段は、視覚や聴覚に限るのだろうか。 本連載では、五感のうちでもとくに「さわる」行為に着目し、「見える」「聞こえる」という常識にとらわれない、あらゆる角度から対象を理解する〝手法〟を提案したい。 「さわる」行為には、世界を知るためのさまざまな可能性が秘められている。

世界をさわる
サイエンス、コミュニケーション、アートの統合をめざして  広瀬浩二郎

さわって楽しむ宇宙の不思議  嶺重 慎

**********

【地域(国)】
アフリカ(ニジェール)
東アジア(日本)

**********

【執筆者(五十音順。肩書は発行当時のもの)】
大塚 雅貴 (おおつか まさたか 写真家)
西岡 圭司 (にしおか けいじ 季刊民族学編集長)
丹羽 朋子 (にわ ともこ 東京大学大学院総合文化研究科博士課程・国立民族学博物館共同研究員)
橋本 裕之 (はしもと ひろゆき 追手門学院地域文化創造機構特別教授)
広瀬 浩二郎(ひろせ こうじろう 国立民族学博物館准教授)
嶺重 慎  (みねしげ しん 京都大学大学院理学研究科教授)
森本 孝  (もりもと たかし 東北文化研究センター共同研究員)

141号 2012年 夏

機関誌
アンコール・ワット、第一回廊腰壁に残る弾痕
大村次郷

特集 文化遺産を再見する

私たちの日常の根底には、先祖が長年にわたり培ってきた文化・文化遺産があり、人びとは暮らしのなかのさまざまな場面で、それらを拠り所としてきた。 しかし、紛争、政治システムといった社会の変容、あるいは気象変動などによる環境の変化は、人びとと文化遺産の距離をときに遠ざけたり、あるいは近づけたりしてきた。 また、近年の国境を越えた人・情報の広がりは文化遺産に対して、その担い手の意思とはかけはなれたところで意味づけがおこなわれるなど、新たな展開も見せはじめている。 世界文化遺産への登録など、文化遺産がますます注目される現在、その背景や意味を正確に知り、将来に思いを馳せることが必要ではなかろうか。 研究者三名による論考と、写真家が捉えた画像を通して文化遺産を再建する。

ブッダガヤー  写真=大村次郷

インドにおける「仏教聖地」
生きた文化遺産の葛藤とその行方  文=前島 訓子

社会主義的無神論の遺産
ポスト社会主義ロシアにおける宗教文化財と博物館  文=高橋 沙奈美

福建土楼  写真=大村 次郷

暮らしの場が文化遺産に 中国「福建土楼」  文=小林 宏至

アンコール遺跡  写真=大村 次郷

コルディリェラの棚田群  写真=大村 次郷

移民からヨーロッパを考える

Part 1
移民の母語教育最前線
フィンランド  庄司 博史

Part 2
「外国人」から「移民」へ
ドイツ在住トルコ系移民の現在  石川 真作

************

【地域(国)】
東アジア(日本)
東アジア(中国)
東南アジア(カンボジア)
東南アジア(フィリピン)
南アジア(インド)
西アジア(トルコ)
ヨーロッパ(ロシア)
ヨーロッパ(フィンランド)
ヨーロッパ(ドイツ)

************

【執筆者(五十音順。肩書は発行当時のもの)】
石川 真作(いしかわ しんさく 京都文教大学人間学研究所客員研究員)
小林 宏至(こばやし ひろし 首都大学東京大学院博士後期課程、日本学術振興会 特別研究員)
庄司 博史(しょうじ ひろし 国立民族学博物館教授)
高橋 沙奈美(たかはし さなみ 日本学術振興会 特別研究員)
前島 訓子(まえじま のりこ 名古屋大学技術補佐員、椙山女学園大学非常勤講師)

140号 2012年 春

機関誌
ジャカルタの「カフェ・バタヴィア」のウェイター
大村次郷

万国喫茶往来 第9回 東南アジア1
海域アジアの要ジャワのテー・ボトル

文=白石 隆
写真=大村次郷

17世紀、海の帝国を誇るオランダにとって、ジャワは海域アジアの要であり、自らの勢力拡大には不可欠な要所であった。 ボゴールを中心に一面の茶畑がひろがり、世界有数の茶生産地と知られる現在のジャワの姿もこれと無縁ではない。 インドネシアの人びとと茶の関係をヨーロッパとの関係史から紐解いていく。

赤い石がつくる道
―カーネリアン・ロードをたどって

小磯 学
遠藤 仁

1章 採掘、加工、交易の歴史
2章 加工の現場から
3章 消費のかたち

パキスタンの結婚

常見 藤代

************

【地域(国)】
東南アジア(インドネシア)
南アジア(インド、パキスタン)

************

【執筆者(五十音順。肩書は発行当時のもの)】
遠藤 仁(えんどう ひとし 総合地球環境学研究所研究員)
小磯 学(こいそ まなぶ 神戸夙川学院大学准教授)
白石 隆(しらいし たかし 政策研究大学院大学学長・京都大学名誉教授)
常見 藤代(つねみ ふじよ 写真家)

139号 2012年 冬

機関誌
南方熊楠邸にそびえるクスノキの大木
藤森 武

特集 南方熊楠と民俗学

現代社会は、国境を超える人とモノの移動が複雑化し、自他への深い理解が求められている。さらに、巨大地震や豪雨が多発するなど、自分たちを取り囲む自然とのあいだで、現状とは異なった関係構築の必要性も高まっている。 しかし、我々は、かえって思考が「内向き」になり、自己防衛的態度に陥り、問題解決への積極的な努力を回避してしまっているのではなかろうか。 本特集では、国境・分野の垣根にとらわれることなく、あらゆるものの姿を求め続けた南方熊楠に焦点をあてる。 多くの問題を抱える現代社会は、彼の探究心、行動力を、まさに必要としているものではなかろうか。 膨大な熊楠の思考の軌跡のうち、多分野への展開がとくに顕著な英国時代以降に焦点をあて、現代を生き抜くために必要な示唆を模索する。

特集 南方熊楠と民俗学

南方熊楠とは何者か 松居 竜五

1章 イギリス時代 地球規模の文化交流を探る

熊楠と比較民俗学 ―『神跡考』の民族誌を中心に― 志村 真幸

「英国に住む野人也」
南方熊楠、柳田國男の山人論争とジョージ・ローレンス・ゴム 横山 茂雄

東西思想への視座 ―土宜法龍への書簡を中心に― 奥山 直司

2章 田辺時代 森の多様な世界を追求する

動物の神々への感謝 ―神社合祀反対運動の思想的背景― 田村 義也

熊楠の先見 ―熊野の森と生物多様性― 加藤 真

カミ、人、自然=熊楠が求めた共生の杜 湯本 貴和

南方熊楠と熊野 安田 忠典

3章 「十二支考」 「南方民俗学」の現代的意義

「十二支考」のなかの竜 松居 竜五

犬に関する民俗と伝説 志村 真幸

「十二支考」の猿たち 鈴木 滋

人と動物のかかわりと「十二支考」 東城 義則

チュニジアの結婚式

常見 藤代

************

【地域(国)】
東アジア(日本)
アフリカ(チュニジア)

************

【執筆者(五十音順。肩書は発行当時のもの)】
奥山 直司(おくやま なおじ 高野山大学教授)
加藤 真(かとう まこと 京都大学大学院人間・環境学研究科教授)
志村 真幸(しむら まさき 京都外国語大学非常勤講師)
鈴木 滋(すずき しげる 龍谷大学准教授)
田村 義也(たむら よしや 成城大学講師)
常見 藤代(つねみ ふじよ 写真家)
東城 義則(とうじょう よしのり 総合研究大学院大学博士後期課程)
松居 竜五(まつい りゅうご 龍谷大学准教授)
安田 忠典(やすだ ただのり 関西大学准教授)
湯本 貴和(ゆもと たかかず 総合地球環境学研究所教授)
横山 茂雄(よこやま しげお 奈良女子大学大学院人間文化研究科教授)