94号 2000年 秋

機関誌
オシラサマを抱く女性
加藤敬

オシラサマがいる風景

加藤敬

屋敷の神として祀られているオシラサマは女性が祀る神様で、青森、岩手、宮城の三県を中心に信仰されている。先祖代々受け継がれてきたこの独自の民間信仰は、いまも生活の中に根づいている

企業ミュージアム探訪 第2回

「インスタントラーメン発明記念館」
~お湯を注いで年430億食~

栗田靖之

畑にムギが立っているあいだは

パン窯からみたマリア・ルカウ村の四半世紀
舟田詠子

パン文化史を研究する筆者の主要なフィールドワークの地は、オーストリア、アルプスの山村であった。ムギ畑とパン窯を主とするフィールドノートから、日常生活と村びとの意識の変遷をさぐる

フランスの食文化

グローバル化時代のフランス的エスプリ
宇田川悟

政治・経済の面でアメリカ型グローバリゼーションに立ち向かっている。フランスの食文化の歴史と現在

中国の龍

文・君島久子
写真・鎌澤久也

お寺や公園、建築物や生活用具、そして祭りなど、中国を歩くといたるところに竜がかたどられ、祀られているのに気づく。数千年にわたって親しまれてきたという竜には、はたしてどんな説話があるのだろうか

おばんざいの台所から

文・山口昌伴
寿岳章子
鈴木靖峯
写真・土村清治

千年の長きにわたって、日本の都であった京都には、宮中の有職料理や寺院の精進料理、茶の湯の懐石料理など、独特のしきたりや決まりをもつ料理がおおい。そうした料理は庶民のあいだにもとりこまれ、おばんざいとよばれて、日々の食卓で親しまれるようになった。京都の伝統料理家であり、おおくの随筆のなかでおばんざいを語ってきた故大村しげの愛用品をとおして、京都の食文化のありように迫る

93号 2000年 夏

機関誌
タヒチの女性の微笑み
飯田裕子

フアヒネ島に半生をかける

篠遠喜彦

南太平洋のフランス領ポリネシア、ソサエティ諸島内位置するフアヒネ島。近代開発に揺れていた1960年代、そこに眠る数おおくの宗教遺跡マラエんお復原を依頼された考古学者・篠遠喜彦博士は、その後、現在までつづく精力的な復原作業をとおして、島民たちにも忘れられていた歴史を掘り起こし、この地域の貴重な文化遺産と自然環境の保護につとめてきた。いまやこの島のシンボルとなった復原遺跡のかずかずは、島民たちの誇りにもなっている

企業ミュージアム探訪 第1回

「uccコーヒー博物館」
香りは世界を駆けめぐる

古代日本とペルシア

二千年紀の初旅、イラン
樋口隆康

栄華を誇ったペルシア帝国の美術品や遺跡を数おおく残すイランは、典型的なシルクロードの国である。中央アジアのオアシス都市を結んで走る東西の交通路シルクロードを伝って、華やかなりし時代のペルシア文明は遙か日本の地にもゆたかな香りをもたらした

森に火をつけよ

オーストラリア・アボリジニの炎のコントロール
小山修三

オーストラリアの先住民アボリジニっは、いまでもさかんに火を放っている。かれらは火をつかいこなすことによって環境をコントロールし資源を確保してきた

平原に聴く、シャーマニズムの息吹

島村一平

モンゴル国東部の平原に暮らすブリヤート族は、20世紀初頭に旧ソ連領から南へ移住してきた人びとの子孫である。時代のうねりを生き抜いてきたかれらのシャーマニズムには、多様な要素をのみこみ、はきだす活力がある。平原にひろがる精神世界のいまをたずねた最新レポート

リス族の刀杆節

中国雲南省、チベット・ビルマ語族の刀はしご登りの祭り
鎌澤久也

建築人類学者のまなざし2

死を排除した住環境
佐藤浩司

92号 2000年 春

機関誌
エチオピアのキリスト教会
野町和嘉

韓国を知る Q&A 115

文・朝倉敏夫
写真・大村次郷
加藤 敬
名智健二
芳賀日出男
藤森 武

華やかな色彩のチマ・チョゴリ、各過程で大量に漬けられるキムチ、床下に暖房装置オンドルがある住まいなど、育まれてきた独自の伝統文化はもとより、人口の都市集中や教育といった現在の社会問題、今後の日韓交流についてなどを115の質問にまとめました。民族学・文化人類学の視点から韓国の社会と文化を知り、相互理解を深めようとする質疑応答とヴィジュアルな写真をとおして、ゆたかな韓国像をこうちくされることをねがっています

いま、博物館がおもしろい

文・千地万造
写真・藤森 武

多種多様な博物館が日本には4500以上ある。気軽に足を運び、日常的に楽しんでいただきたい

スカート刺繍に縫いこむ思い

安井清子

モン族の伝統的なスカートは、麻の刈り取りにはじまり、糸を紡ぎ、藍染めをほどこした手作りの布でつくられる。畑仕事や家事、子育てのあいまを縫って、女たちは今日も一年がかりのスカートづくりにはげむ

エチオピアの岩窟聖堂

文・山形孝夫
写真・野町和嘉

人口のおよそ半分をキリスト教徒が占めるエチオピア。そこに生きつづけるキリスト教は、ヨーロッパ経由のキリスト教とはまったくことなる、独自の系譜をたどってきた。数多くの巡礼者を集める聖地ラリベラをはじめ、高地に点在する岩窟聖堂は、いまも祈りの場として人々の生活に深く根をおろしている

天界にむけて開かれた不思議空間
ラリベラを中心とした岩窟聖堂群を、宗教的超越の装置として捉え、エチオピアにおけるキリスト教受容の謎をひもとく

建築人類学者のまなざし

空間の変容と人間
佐藤浩司

91号 2000年 新春

機関誌
カザフ人の長老
大塚知則

モンゴル国のカザフ人

チョナイ・クランダ/小長谷有紀/イチンホローギーン・ルハグヴァスレン/田中克彦/大塚知則

ガリフナ イン ニューヨーク

冨田 晃

いざなぎ流の世界

写真=芳賀日出男

神がみと生きる
梅野光興

いざなぎ流と日本各地の祭祀と「湯」
芳賀日出男

いざなぎ流にみるアジアの神がみ
中城正堯

ベンガルのモノモホン・ドット廟
ヒンドゥー教徒とイスラーム教徒がつどう聖者廟

外川昌彦

民族学者のまなざし 最終回

「現在」の人類学
大塚和夫