第103回 【 講演会&食事会 】アフリカを食べる 

演題
【講演会&食事会】 アフリカを食べる

内容
西アフリカのニジェール川流域に暮らすボゾの人びとは、米を主食とし、副食に魚を食べるという日本と似通った食生活をしています。ただ、彼らは日本人の倍以上の量の魚を食べると言われます。地元の市場ではナマズの燻製やさまざまな魚の干物が大量に取引されるなど、内陸でありながら魚が食の中心になっています。また、ニジェール川の内陸三角州は、稲の原産地のひとつでもあります。自然氾濫を利用した内陸三角州の稲作は、最初雨水に頼って田植えをし、収穫時には腰まで水につかって刈りとります。

漁をおこない、燻製や干物などをつくるボゾ族の人びとは、古くからこの地域の人びとの食生活を支えてきました。にごった川の中で素潜りし、「魚の心音」を聞きながら漁をするなど、昔ながらのやり方で魚を追って暮らす彼らの生活を、映像を用いながらご紹介します。お話のあとには食事会も開催します。マリやセネガルなど、西アフリカ地域の家庭料理をじっさいに味わいましょう。スンバラという豆の発酵食品をつかった調味料を用いる西アフリカの料理は、特別辛いということもなく、日本人にも食べやすい味です。ボゾの人びとが毎日食べているチェブジェン(魚のたきこみご飯)やマフェ(牛肉をピーナツソースで煮込 んだもの)などをご用意いただきます。

講師の竹沢先生や、会場・お料理を提供してくださるレストラン・カラバッシュのオーナー熊澤さんに、食べ方や現地でのお話などをうかがいながら楽しみたいと思います。

講演会、お食事会どちらかのみの参加も可能です。
今回は会員外の方にもご参加いただけるように設定しています。
ご家族やご友人とご一緒に、ぜひご参加ください。

<食事会メニュー>
*ドリンク(チュニジアのビールやハイビスカスジュースなど)
*アカラ(パンダ豆のコロッケ)
*サラダ
*チェブジェン(魚のだしがたっぷりときいたたきこみご飯。毎日の食事)
*マフェとクスクス(牛肉をピーナツソースで煮込んだもの)

講師
竹沢 尚一郎(国立民族学博物館教授)

日時
2012年9月22日(土) 15時30分~17時/食事会:17時30分~19時頃

場所
アフリカ料理レストラン「カラバッシュ」

定員
40名(申込先着順)

備考
■友の会会員:講演会のみ:300円(会員外500円)※ハイビスカスジュース付/食事会:3500円(会員外4000円)※講演会参加費を含む

第410回 ビルマ/ミャンマーの「絆」の力

演題
ビルマ/ミャンマーの「絆」の力

内容
ビルマ(現国名ミャンマー)は、今もっとも注目をあびている国のひとつです。ここでは人と人とのつながりがとても大切です。ビルマの人間関係のあり方をとおしてこの国の魅力を紹介し、私たち自身の社会もふり返って考えてみましょう。

※講演会終了後、質疑応答を中心とした懇談会を開催します(1時間程)

講師
田村 克己(国立民族学博物館教授)

日時
2012年8月4日(土) 14時~15時

場所
国立民族学博物館2階 第5セミナー室

定員
96名(先着順)

備考
■友の会会員:無料

第409回 みんぱくコレクションを語る 蚊帳に見えない蚊帳のはなし

演題
みんぱくコレクションを語る
蚊帳に見えない蚊帳のはなし

内容
ラオスの蚊帳は「虫除け」というだけではなく、さまざまな機能があり、女性の嫁入り道具にもなっています。この蚊帳との出会いは異文化にふれる醍醐味を教えてくれるものとなりました。民博収蔵の美しい蚊帳もじっさいにお見せしながらお話します。 ※昨年9月に台風で中止になったものです。

※講演会終了後、質疑応答を中心とした懇談会を開催します(1時間程)

講師
白川 千尋(国立民族学博物館准教授)

日時
2012年7月7日(土) 14時~15時

場所
国立民族学博物館2階 第5セミナー室

定員
96名(先着順)

備考
■友の会会員:無料

第65回体験セミナー 鯨と人のくらしを考える ─

第65回体験セミナー 鯨と人のくらしを考える ─

2012/07/14~2012/07/15

人類は有史以前から、さまざまなかたちで鯨と関わってきました。鯨は食料としてだけでなく、燃料や資材などとして生活に欠かせない資源を供給してきました。近年は欧米人の考え方に基づく反捕鯨の主張が政治経済力を背景に世界中に広がる勢いで、鯨をめぐる議論は多様に、そして複雑になっているように思われます。同行講師の岸上伸啓先生は長年、イヌイットの生存捕鯨について研究されてきました。文化人類学の立場からの研究は、異なる時代、地域、文化における鯨と人との関わりについて複眼的に考える視点を提供してくれます。先住民と狩猟をめぐる議論も含め、鯨と人の歴史と今後について考えてみましょう。

今回訪問する高知県は、古式捕鯨から商業捕鯨の終末まで360年にわたって継続して捕鯨がおこなわれてきた土地です。捕鯨の盛衰とかつお・まぐろ漁業の関係など、鯨ぬきには高知の漁業、文化を語ることはできません。キラメッセ室戸 鯨館の元館長・多田運さんにご案内いただきながら、資料館や史跡を訪ねます。宿泊する室戸岬のホテルは太平洋の目の前。弘法大師空海の御厨人窟やジオパークに指定されている景観もあわせて楽しみましょう。

<1日目>
高知県立歴史民俗資料館にて展示見学とセミナー
セミナー「鯨と人の関わりの歴史」について
講師:岸上伸啓(国立民族学博物館教授)
資料館見学では学芸員の方の解説もお聞きします。
吉良川の町並み(伝統的な建造群)、室戸岬経由で宿へ

<2日目>
室戸市内の捕鯨関連史跡、キラメッセ室戸 鯨館の見学
多田 運氏(キラメッセ室戸 鯨館元館長)の案内で捕鯨関連
史跡を訪ね、土佐の捕鯨の歴史についてもお聞きします。
講師:岸上伸啓(国立民族学博物館教授)
多田運(キラメッセ室戸 鯨館元館長)

141号 2012年 夏

機関誌
アンコール・ワット、第一回廊腰壁に残る弾痕
大村次郷

特集 文化遺産を再見する

私たちの日常の根底には、先祖が長年にわたり培ってきた文化・文化遺産があり、人びとは暮らしのなかのさまざまな場面で、それらを拠り所としてきた。 しかし、紛争、政治システムといった社会の変容、あるいは気象変動などによる環境の変化は、人びとと文化遺産の距離をときに遠ざけたり、あるいは近づけたりしてきた。 また、近年の国境を越えた人・情報の広がりは文化遺産に対して、その担い手の意思とはかけはなれたところで意味づけがおこなわれるなど、新たな展開も見せはじめている。 世界文化遺産への登録など、文化遺産がますます注目される現在、その背景や意味を正確に知り、将来に思いを馳せることが必要ではなかろうか。 研究者三名による論考と、写真家が捉えた画像を通して文化遺産を再建する。

ブッダガヤー  写真=大村次郷

インドにおける「仏教聖地」
生きた文化遺産の葛藤とその行方  文=前島 訓子

社会主義的無神論の遺産
ポスト社会主義ロシアにおける宗教文化財と博物館  文=高橋 沙奈美

福建土楼  写真=大村 次郷

暮らしの場が文化遺産に 中国「福建土楼」  文=小林 宏至

アンコール遺跡  写真=大村 次郷

コルディリェラの棚田群  写真=大村 次郷

移民からヨーロッパを考える

Part 1
移民の母語教育最前線
フィンランド  庄司 博史

Part 2
「外国人」から「移民」へ
ドイツ在住トルコ系移民の現在  石川 真作

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【地域(国)】
東アジア(日本)
東アジア(中国)
東南アジア(カンボジア)
東南アジア(フィリピン)
南アジア(インド)
西アジア(トルコ)
ヨーロッパ(ロシア)
ヨーロッパ(フィンランド)
ヨーロッパ(ドイツ)

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【執筆者(五十音順。肩書は発行当時のもの)】
石川 真作(いしかわ しんさく 京都文教大学人間学研究所客員研究員)
小林 宏至(こばやし ひろし 首都大学東京大学院博士後期課程、日本学術振興会 特別研究員)
庄司 博史(しょうじ ひろし 国立民族学博物館教授)
高橋 沙奈美(たかはし さなみ 日本学術振興会 特別研究員)
前島 訓子(まえじま のりこ 名古屋大学技術補佐員、椙山女学園大学非常勤講師)