第417回 フィールドワークを語る ヨソモノが感じ、考えたこと

演題
フィールドワークを語る ヨソモノが感じ、考えたこと

内容
ニューギニアの贈物交換活動とヤップ島のサァという情報伝達についての調査が、私の最初の研究課題でした。「人は何を、どのように伝えあっているのか」という問いについて、ヨソモノが調査において遭遇したエピソードを交えながらお話します。

※講演会終了後、質疑応答を中心とした懇談会を開催します(1時間程度)

講師
小林 繁樹(国立民族学博物館教授)

日時
2013年3月2日(土) 14時~15時

場所
国立民族学博物館2階 第5セミナー室

定員
96名(先着順)

備考
■友の会会員:無料

第105回 【特別展「マダガスカル 霧の森のくらし」関連】 何処にでもある何処にもない世界 マダガスカル

演題
【特別展「マダガスカル 霧の森のくらし」関連】
何処にでもある何処にもない世界 マダガスカル

内容
マダガスカルにはインド洋を行き交ったアジア、アフリカ、アラブ、ヨーロッパの人びとの一千年余りの「記憶」が随所に刻まれています。言葉や生活文化を丁寧によみとくことで、文献には記されていないその歴史にせまります。

※講演会終了後、講師を囲んで懇談会を実施します(40分)。

講師
深澤秀夫(東京外国語大学教授)、
飯田卓(国立民族学博物館准教授)

日時
2013年3月30日(土) 14時~15時

場所
JICA市ヶ谷ビル セミナールーム600

定員
80名(申込先着順)

備考
■友の会会員:無料
ご家族やご友人もお誘い下さい。

第81回 民族学研修の旅 ミャンマー・タバウン月の祭りを訪ねて ─ ─仏教と精霊ナッの儀礼

第81回 民族学研修の旅 ミャンマー・タバウン月の祭りを訪ねて ─ ─仏教と精霊ナッの儀礼

2013年3月19日(火)~3月28日(木)10日間

ミャンマーの新年は4月中旬頃です。3月はミャンマーの暦で1年の終わりの月にあたり、タバウン月とよばれます。タバウンにはミャンマー最大の都市、ヤンゴンにあるシュエダゴン・パゴダ祭りがおこなわれるほか、各地の町や村でもパゴダ(仏塔)祭りがおこなわれます。さらに、精霊ナッの大きな祭りも見られる、とてもにぎやかな季節です。

精霊ナッの信仰
ミャンマーの人びとの大多数は敬虔な仏教徒です。しかし、彼らの日常生活には折にふれて精霊ナッが登場します。家の隅の柱につるされたココヤシの実は家を守るナッです。町や村にはそれらを守るナッが、路傍や大木の下の小さな祠にまつられています。人びとがお供えをして願い事をする姿が見られることもあります。私たち日本人にとってちょうど「カミ」さまのようなものでしょうか。仏教では仏陀以外の超自然的な存在を信じ、それらに関わることは好ましくないとされています。しかし、仏教がおもに来世への願いに関わるのに対し、ナッは現実の生活のさまざまな願い事をかなえてくれる存在です。

今回の旅はこのナッ信仰の「聖地」を訪ねます。マンダレーの近くにあるタウンビョンと、有名な仏教遺跡パガンから少し離れたところにあるパカーンなどです。祭りにはミャンマー全土から多数の霊媒(ナッカドー)が集まり、色彩豊かな衣装とにぎやかな音楽とともに、ナッに踊りを奉納します。興味深いことにパカーンのナッは大酒飲みでギャンブラーと伝えられています。このような仏教の教えに反する不道徳な存在が信仰の対象とされているところに、ミャンマーの文化のおもしろさや奥深さを垣間見ることができます。

また、ミャンマーの仏教の聖地シュエダゴン・パゴダの満月の祭りにも参加します。さらに、多くの仏塔、僧院が立ち並ぶパガン遺跡、マンダレーの世界一大きな経典、鐘、パゴダなどもあわせて訪ねます。そこでは「たてまえ」の宗教に注がれる信仰のエネルギーに圧倒されることでしょう。

今、ミャンマーは大きな転換点にあります。そうしたミャンマーの現実の姿、人びとのくらしと密接に結びついた信仰のかたち、そして伝えられてきた歴史のあとをたどることで、ミャンマーという国のかたちを一緒に考えてみたいと思います。


第81回 ミャンマー・タバウン月の祭りを訪ねて-─仏教と精霊ナッの儀礼 実施報告

今でも脳裏にうかぶのはパゴダの数と大きさ。そして パゴダや仏像に、時にはもとの形が分からなくなるほどに 金箔が貼られていたり、カラフルな電飾で彩られてまばゆいば かりに輝いていたことです。

仏教の祭りや得度式のほかに精霊ナッの祭りも見学しま した。猛烈な砂埃の中、ボートや牛車に揺られてようやく 到着した村で霊媒師の奉納の踊りを見学したり、神像が祀ら れている神殿を見せていただきました。イラワジ川を船で 一日かけてくだりながら、沈む夕日を眺め、見聞きした出来 事を咀嚼したり、目に入るものは何でも紹介しようという 同行講師のレクチャーに耳を傾けた贅沢な10日間でした。


タウンビョン村のナッの神殿にて


朝早くからお参りの人が絶えないシュエダゴン・パゴダの満月の祭りの様子


イラワディ川を丸一日かけて船で下りました。(マンダレーからバガンまで)船に乗るのも一苦労

第416回 みんぱくコレクションを語る 明治~昭和初期の樺太資料の収集者たち

演題
みんぱくコレクションを語る
明治~昭和初期の樺太資料の収集者たち

内容
みんぱくには鳥居龍蔵や石田収蔵らによって収集された、樺太の先住民族(ニブフ、ウイルタ、アイヌ)の貴重な資料があります。現在、彼らの収集の足跡をたどりながら、資料の情報をあらためて整理しています。その過程で明らかになったことなどを、実際に資料もお見せしながらお話します。

※講演会終了後、質疑応答を中心とした懇談会を開催します(1時間程)

講師
齋藤 玲子(国立民族学博物館助教)

日時
2013年2月2日(土) 14時~15時

場所
国立民族学博物館2階 第5セミナー室

定員
96名(先着順)

備考
■友の会会員:無料

143号 2013年 新春

機関誌
薄型テレビに映るアメリカ文化をみつめる人たち
大村次郷

万国喫茶往来 第10回 東南アジア2
ふたつのお茶

変貌するミャンマーの喫茶事情

文=白石 隆
写真=大村次郷

コラム ミャンマーの街角から
大村次郷

この現代中国を、カワウと生きぬく

卯田宗平

ムジャッダラ考
とある家庭料理をめぐる、シャーム地方文化論

菅瀬晶子

古来シャーム地方と呼ばれてきた東地中海アラビア語圏。シリア、レバノン、パレスチナ、ヨルダンに相当するが、いずれも長らく政情不安定であり、「危険な紛争地域」というイメージが常について回る。イスラエルは頻繁にガザ地区を攻撃し、シリア内戦も終結の兆しがまったくみえず、この地域が紛争の地であることはまぎれもない事実である。そのイメージの陰に隠れ、シャーム地方の実像はほとんどみえてこない。ムジャッダラというひと皿の料理から、この地域の風土や文化の特徴を解き明かしてみたい。

エンパイア・ウインドラッシュ号からロンドン・オリンピックへ
都市の祝祭からみるアフロ・カリブ系の歴史・芸術・文化

木村葉子

ノッティングヒル・カーニバルは、八月最終週の日曜日と月曜日の連休にロンドンでおこなわれる祝祭である。色鮮やかな仮装パレード、現代音楽が響きわたるサウンド・システム(固定式と移動式の音響装置)、カーニバル特有の無礼講が都市の喧騒と共鳴しあい、都心近くの閑静な高級住宅地ノッティングヒルは、一年に二日間、カリブの陽気な世界に変貌する。このカーニバルで中心となるのは、カリブ海地域の旧イギリス植民地出身者とイギリスうまれの第二世代以降を含むアフロ・カリブ系で、大西洋奴隷貿易においてアフリカからカリブ海地域へ売られた奴隷の子孫にあたる・・・

世界をさわる 第2回
体験学習プログラム「サワッテ ミル カイ」の開発

私たちは日常において、視覚と聴覚に頼って情報を取り込むことが多い。 日常生活にとどまらず、博物館や美術館という鑑賞・学習の現場でも「見学」「観覧」といった視覚中心の鑑賞方法が提示されることが多い。 しかし、ものの本質を知る手段は、視覚や聴覚に限るのだろうか。 本連載では、五感のうちでもとくに「さわる」行為に着目し、「見える」「聞こえる」という常識にとらわれない、あらゆる角度から対象を理解する〝手法〟を提案したい。 「さわる」行為には、世界を知るためのさまざまな可能性が秘められている。

生活さわり方運動の提唱
広瀬浩二郎

体験学習プログラム「サワッテ ミル カイ」の開発
大野照文

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【地域(国)】
東南アジア(ミャンマー)
東アジア (中国)
西アジア (シリア、レバノン、イスラエル、ヨルダン)
ヨーロッパ(イギリス)
東アジア(日本)

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【執筆者(五十音順。肩書は発行当時のもの)】
卯田宗平(うだしゅうへい 東京大学日本・アジアに関する教育研究ネットワーク、東洋文化研究所特任講師)
大野照文(おおのてるふみ 京都大学総合博物館館長)
大村次郷(おおむら つぐさと 写真家)
木村葉子(きむらようこ 名古屋外国語大学非常勤講師)
白石 隆(しらいし たかし 政策研究大学院大学学長、京都大学名誉教授)
菅瀬晶子(すがせあきこ 国立民族学博物館助教)
広瀬浩二郎(ひろせ こうじろう 国立民族学博物館准教授)