143号 2013年 新春

機関誌
薄型テレビに映るアメリカ文化をみつめる人たち
大村次郷

万国喫茶往来 第10回 東南アジア2
ふたつのお茶

変貌するミャンマーの喫茶事情

文=白石 隆
写真=大村次郷

コラム ミャンマーの街角から
大村次郷

この現代中国を、カワウと生きぬく

卯田宗平

ムジャッダラ考
とある家庭料理をめぐる、シャーム地方文化論

菅瀬晶子

古来シャーム地方と呼ばれてきた東地中海アラビア語圏。シリア、レバノン、パレスチナ、ヨルダンに相当するが、いずれも長らく政情不安定であり、「危険な紛争地域」というイメージが常について回る。イスラエルは頻繁にガザ地区を攻撃し、シリア内戦も終結の兆しがまったくみえず、この地域が紛争の地であることはまぎれもない事実である。そのイメージの陰に隠れ、シャーム地方の実像はほとんどみえてこない。ムジャッダラというひと皿の料理から、この地域の風土や文化の特徴を解き明かしてみたい。

エンパイア・ウインドラッシュ号からロンドン・オリンピックへ
都市の祝祭からみるアフロ・カリブ系の歴史・芸術・文化

木村葉子

ノッティングヒル・カーニバルは、八月最終週の日曜日と月曜日の連休にロンドンでおこなわれる祝祭である。色鮮やかな仮装パレード、現代音楽が響きわたるサウンド・システム(固定式と移動式の音響装置)、カーニバル特有の無礼講が都市の喧騒と共鳴しあい、都心近くの閑静な高級住宅地ノッティングヒルは、一年に二日間、カリブの陽気な世界に変貌する。このカーニバルで中心となるのは、カリブ海地域の旧イギリス植民地出身者とイギリスうまれの第二世代以降を含むアフロ・カリブ系で、大西洋奴隷貿易においてアフリカからカリブ海地域へ売られた奴隷の子孫にあたる・・・

世界をさわる 第2回
体験学習プログラム「サワッテ ミル カイ」の開発

私たちは日常において、視覚と聴覚に頼って情報を取り込むことが多い。 日常生活にとどまらず、博物館や美術館という鑑賞・学習の現場でも「見学」「観覧」といった視覚中心の鑑賞方法が提示されることが多い。 しかし、ものの本質を知る手段は、視覚や聴覚に限るのだろうか。 本連載では、五感のうちでもとくに「さわる」行為に着目し、「見える」「聞こえる」という常識にとらわれない、あらゆる角度から対象を理解する〝手法〟を提案したい。 「さわる」行為には、世界を知るためのさまざまな可能性が秘められている。

生活さわり方運動の提唱
広瀬浩二郎

体験学習プログラム「サワッテ ミル カイ」の開発
大野照文

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【地域(国)】
東南アジア(ミャンマー)
東アジア (中国)
西アジア (シリア、レバノン、イスラエル、ヨルダン)
ヨーロッパ(イギリス)
東アジア(日本)

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【執筆者(五十音順。肩書は発行当時のもの)】
卯田宗平(うだしゅうへい 東京大学日本・アジアに関する教育研究ネットワーク、東洋文化研究所特任講師)
大野照文(おおのてるふみ 京都大学総合博物館館長)
大村次郷(おおむら つぐさと 写真家)
木村葉子(きむらようこ 名古屋外国語大学非常勤講師)
白石 隆(しらいし たかし 政策研究大学院大学学長、京都大学名誉教授)
菅瀬晶子(すがせあきこ 国立民族学博物館助教)
広瀬浩二郎(ひろせ こうじろう 国立民族学博物館准教授)