第320回 自然と共生する文化(2) 変化する伝統工芸 ─漆をめぐる人の営み

演題
自然と共生する文化(2)
変化する伝統工芸 ─漆をめぐる人の営み

内容
日本を代表する伝統工芸に漆工技術があります。古来より日本では漆を採取する漆山を管理しながら漆を生産してきました。しかし安い外国産漆の輸入や、漆を採取する漆描き職人の減少で、良質の漆とされてきた国内産漆は現在、危機的状況にあります。そこで国内産漆を守るため、西日本を中心に活動しているグループに着目し、漆山を通した自然との関わりあいについてかんがえます。

講師
日髙 真吾(国立民族学博物館助手)

日時
2005年2月5日(土) 14時~15時30分

場所
国立民族学博物館2階 第5セミナー室

定員
96名(先着順)

備考
■友の会会員:無料

第73回 モンゴロイドがたどった道 ―オセアニアへの人類移動&国立科学博物館見学会

演題
モンゴロイドがたどった道
―オセアニアへの人類移動&国立科学博物館見学会

内容
日本人のルーツとなるモンゴロイドは、東アジアを起点としてシベリアからオセアニアという広い範囲を移動しています。この秋、リニューアルした国立科学博物館「人類拡散フロア展示・オセアニアコーナー」を監修された印東先生を講師に招き、モンゴロイドの社会と文化についてかんがえます。あわせて馬場先生から新たな展示の見どころ等をお話しいただき、「人類拡散フロア展示」の見学会を実施します。

講師
印東 道子(国立民族学博物館教授)
馬場 悠男(国立科学博物館人類研究部長)

日時
2005年2月20日(日) 13時~16時

場所
国立科学博物館

定員
40名(申込先着順)

備考
■友の会会員:500円(資料代等含む)

第319回 自然と共生する文化(1) 文化・生物の多様性 ─国際的な共通認識のために

演題
自然と共生する文化(1)
文化・生物の多様性 ─国際的な共通認識のために

内容
これまで環境問題を考えるとき、自然環境と人間の関係という視点で語られることは多くはなかった。しかし近年は生物多様性を持続させるためには「文化」の側面も考慮に入れるべきだという見方が広まりつつある。生物と文化の多様性について、世界的に共通する認識を構築するために、東南アジアの人類学的、生態学的事例をとおして考える。

講師
阿部 健一(国立民族学博物館助教)

日時
2005年1月8日(土) 14時~15時30分

場所
国立民族学博物館2階 第5セミナー室

定員
96名(先着順)

備考
■友の会会員:無料

第72回 連続講演会「文化人類学の社会的活用」(1) 文化人類学の社会的活用 ~ はじめに

演題
連続講演会「文化人類学の社会的活用」(1)
文化人類学の社会的活用 ~ はじめに

内容
かつてアメリカの文化人類学者マーガレット・ミードは、人類に未来があるとするならば人類学者が重要になってくるということを語っています。ミードの生きた20世紀にもまして、現代における文化人類学の意義は問われています。

フィールドワークの方法やそれにもとづく知識やかんがえ方が社会とどのように関わるのかをかんがえます。

講師
田村 克己(国立民族学博物館教授)

日時
2005年1月22日(土) 14時~15時30分

場所東京芸術劇場5階 中会議室

定員
80名(申込先着順)

備考
■友の会会員:無料

111号 2005年 新春


マルカパタ村のヨネちゃん
山本 紀夫

特集 人と自然との共生

人びとは地域に根ざした「在来の知」により、自然とゆるやかに接し、共生してきた。近年の高度な技術発展と大規模開発は、この人の営みと自然とを切り離してしまったのだろうか。アンデス、ヒマラヤ、そして愛知県矢作川をとおして、人と自然のゆるやかな関係を考える

現代に蘇ったインカの知恵 稲村 哲也
アンデスの草原を人びとは駆け抜ける。はるかインカ時代におこなわれていたビクーニャの追いこみ猟「チャク」の復活である。自然をゆるやかに管理し利用する古代の知恵が、現代社会に蘇ったのだ。その姿がわたしたちに告げているものは何であろうか

アンデスとヒマラヤにおける自然のゆるやかな管理 稲村 哲也 山本 紀夫
アンデスとヒマラヤ。この二つの高地には多様な自然環境が狭い範囲に凝縮されているという共通の特徴があるいっぽう、緯度の差などがもたらす、大きな違いがある。人びとは、それぞれの地域の環境に順応し、自然と共生してきたのである

ヒマラヤから矢作川へ 半栽培とやわらかな自然とのかかわり 文/写真・古川 彰 写真・横井 恭夫
ヒマラヤと愛知県矢作川。地理的にも文化的にも大きく隔たったこのふたつの地域を結び付けるものはいったい何であろうか。そこには、現代社会に生きる、人びとの共通した叡知がある。

水産資源の持続的利用を目指して 文・芝村 龍太 写真・横井 恭夫
川岸ではおおくの釣り人が糸をたらしている。ひさしくみられなかったこの光景は、流域住民の目にどのように映ったのだろうか。彼らは、長年にわたり、川との多様なかかわりの回復をめざし、さまざまな取り組みをおこなってきたのである

多国籍ベースボールの時代

杉本 尚次

かつてアメリカにわたった移民たちがみずからのアイデンティティを確認するかのようにベースボールに熱中した。現在では国境を越えて、さまざまな人びとがベースボールに夢を求めて、アメリカにむかう。

ムアンの歳時記
第1回 ムアン・クアイの正月

文・樫永 真佐夫
イラスト・栗岡 奈美恵

ゆるやかな川がせせらぎ、田んぼのむこうには緑なす青垣、西日本の田舎にもありそうな、そんな盆地風景に東南アジア北部のあちこちで出会うだろう。タイ系の人びとは、国境と関係なくそのひとつひとつをムアンとよんできた。おらがくに、ムアン・クアイでの人の生き方を折々の慣習と行事からたどる

中国・旅游熱潮
新三峡にみるツーリズム産業の隆盛

文・高山 陽子
写真・鎌澤 久也

長江の自然と史跡が織りなす絶景は、むかしから人びとに愛でられてきた。巨大ダムの建設によって流域の景観は変わっても、依然として長江をゆく船旅の人気は高い。しかしその水底にはおおくの史跡と暮らしの記憶が沈む

京の神饌

文・岩井 宏實 写真・土村 清治 山崎 義洋四季折々、自然からうけた恩恵を神に捧げる神饌。京都には名だたる神社がおおく、神事・祭礼に献供される神饌も多彩である。その饗宴を通じて人がねがったのは、神との一体感をたしかめることであった