第69回体験セミナー 「織り」からたどる手仕事の現場(国内編) ─

第69回体験セミナー 「織り」からたどる手仕事の現場(国内編) ─

2014年11月20日(木)~21日(金)

衣類をはじめ、人間生活に欠くことのできない「織り」。その技術は有史以前より広範な地域で受け継がれてきました。作業を効率よくするために多様な織機が生まれ、大量生産をも可能にする一方で、それ以前より続く手仕事の織りの作業には衰退著しいものがありました。しかし、一部の地域では、そうした手仕事を今でも目にすることができます。

第69回体験セミナーでは、古くからの織物産地であるとともに、養蚕・製糸業を牽引してきた群馬県を訪ね、織機や絹の資料館、山間部の生活のなかで営まれるワラやナワを糸素材とした織りの仕事を見せていただきます。 各地の自然・生活環境に即して受け継がれてきた織りの技術、素材、その道具には、人びとの創意工夫の知恵を垣間見ることができます。手仕事の重要性や、人が自然と共生しながら生きてきた術を「織り」を通して考えてみたいと思います。

※第85回民族学研修の旅の関連企画です。手仕事による機織りの現場を訪ねる旅(国内編)です。

第68回体験セミナー 「くすりの民族学」 見学編   ─

第68回体験セミナー 「くすりの民族学」 見学編   ─

2014年4月17日(木)~18日(金)

昨年の友の会講演会「くすりの民族学」では、薬草やくすりに関する民族誌研究が進むことへの期待とその可能性について、世界の事例も含めてひろく考えました。今回は民間薬の資料館や大神神社の薬にまつわる神事・鎮花祭を訪ねながら、民衆に頼りにされる“くすり”がどのように成立していったのかについて大和の例から考えてみたいと思います。 日本のくすりの歴史を考えるには、大陸からの影響と在来知の関係、地元の有力者や寺社との動きなども視野に入れる必要があります。御所市にある三光丸クスリ資料館の館長で、飛鳥の歴史をこよなく愛する浅見潤先生と小山修三先生の対話をたのしみながら、みなさんと一緒にくすりについて考えてみたいと思います。小山説によるとくすりの材料だったという、纒向遺跡で出土した大量の桃の種の実物もご覧いただきます。

体験セミナーのプログラム終了後、三輪そうめん山本で開催される石毛直道先生と小山修三先生の対談「和食とは何か(仮)」にもぜひご参加ください。

【プログラム】
4/17(木)三光丸クスリ資料館訪問
13時半:近鉄「市尾駅」集合
駅から資料館まで30分程度、散策(古墳や城跡)
14時:資料館見学およびレクチャー
小山修三先生と浅見潤館長の対談と解説
(資料館ではさまざまな生薬に実際に触れられるほか、味見できるものもあります。)

4/18(金)鎮花祭(ちんかさい)
午前中:大神神社にて花鎮祭の神事見学
纒向遺跡を経由して麺ゆう館へ。纒向遺跡から出土した桃の種を見学
昼食:三輪そうめん山本
13時半頃:終了(最寄りの駅まで送迎可能です)

※希望者は引き続き、石毛直道先生と小山修三先生の対談「和食とは何か(仮)」に参加できます(15時半頃終了予定)

第67回体験セミナー ニッポンの漆を考える ─ ─世界最古の漆発見の地・鳥浜貝塚と越前漆器

第67回体験セミナー ニッポンの漆を考える ─ ─世界最古の漆発見の地・鳥浜貝塚と越前漆器

10月26日(土)~27日(日)

光り輝く蒔絵や螺鈿が施された漆器はかつてヨーロッパの人びとを魅了し、それらが「japan」とよばれたことはよく知られています。そうした調度品や高級漆器以外にも、漆はさまざまな場面で日本の生活、文化を支えてきました。「縁の下の力持ち」としての要素も含め、日本の生活や文化と漆の関係について、ひろく考えてみます。

【訪問先】
若狭三方縄文博物館(福井県三方町)、うるしの里会館、片山漆器神社(鯖江市)ほか


第67回 ニッポンの漆を考える-─世界最古の漆発見の地・鳥浜貝塚と越前漆器 実施報告

悪天候にも負けず、福井県の若狭三方縄文博物館や越前漆器の生産地・鯖江市を訪問しました。 縄文から始まって現代までの漆事情についてのレクチャーや、職人を含む現地の方々のお話をとおして漆の世界について考えました。神社に奉納されている漆器作りの道具を披露していただくなど、地元のみなさんにもご協力いただきました。夕食時の懇談会では漆についての質疑応答だけでなく、みなさんのふだんの活動などについてもお聞きでき、とても楽しい時間でした。

参加者の感想です。

野一色勲さん
鳥浜貝塚の発掘途中で緑色の葉が見つかった話(泥に密閉されたために奇跡的に残った)に感動した。タイムカプセルに入ったような気分。

安原賢治さん
日高先生の解説、ふたつの漆器神社の見学、うるしの里会館での解説など、さまざまな角度から考えられて良かった。漆製品を使ってみようかな、と思った。

佐藤芳郎さん
以前の体験セミナーで行った木地師資料館で聞いた話を思い出した。技術者集団の拡散、交流、権威づけによる地位向上、対立、継承などがほそい糸でつながったように感じた。


片山漆器神社にて神社に保存されている漆工道具の解説を聞く


若狭三方縄文博物館にて出土した漆製品についての解説を聞く

第66回体験セミナー企画展「記憶をつなぐ」関連 「稲むらの火祭り」訪問と企画展および関連催し「鵜鳥神楽」見学会 ─*現地の事情により中止となりました。

第66回体験セミナー企画展「記憶をつなぐ」関連
「稲むらの火祭り」訪問と企画展および関連催し「鵜鳥神楽」見学会 ─

2012/10/20~10/21 1泊2日 *現地の事情により中止となりました。

今回の震災をうけて、ある地震研究者は「完全な地震の予知、巨大な堤防の建設よりも1,000年間この経験を伝えるために、世代ごとにその時代に合わせた方法を考えることが必要ではないか」と述べています。本企画展でも日本の沿岸部に残る津波碑や寺社による地震や津波の記録を伝える役割について取り上げていますが、その一つである和歌山県広川町では、稲むら(稲藁)に火を放ち避難者を誘導した逸話の記憶をつなぐさまざまな取り組みをおこなっています。記念碑だけでなく、語り聞かせや堤防の土を盛る追体験のほか、逸話にちなんだ松明行列を含む祭りも開催しています。今回はこの祭りにあわせて同地を訪問し、町としての継承活動について学びます。

翌日は企画展の見学会のあと、企画展関連催し「鵜鳥神楽」も観覧します。鵜鳥神楽は三陸沿岸の村々を回って歩く大きな神楽で、無形文化財にも指定されています。展示では神楽の装束が展示されています。被災後、早くから神楽の復興が目指され、人びとの心の拠り所ともなってきました。

祭りをとおして地域にとって重要な情報を継承する事例、また、祭りがいわば紐帯として地域の人びとの気持ちをつなぐ事例など、祭りの意味についてもさまざまな角度から考える機会にしたいと思います。

講師:日高 真吾(国立民族学博物館准教授)

10/20(土)稲むらの火祭り見学
祭りが行われる広八幡神社、稲むらの火の館、濱口梧陵関連史跡などを見学。夕方から稲村の火祭りの松明行列に参加。

10/21(日)企画展および研究公演「鵜鳥神楽」見学
貸切バスで国立民族学博物館へ移動。解説つきで企画展を見学後、午後からは研究公演「鵜鳥神楽」を観覧。 (開催中の特別展「世界の織機と織物」もあわせてご覧下さい)

第65回体験セミナー 鯨と人のくらしを考える ─

第65回体験セミナー 鯨と人のくらしを考える ─

2012/07/14~2012/07/15

人類は有史以前から、さまざまなかたちで鯨と関わってきました。鯨は食料としてだけでなく、燃料や資材などとして生活に欠かせない資源を供給してきました。近年は欧米人の考え方に基づく反捕鯨の主張が政治経済力を背景に世界中に広がる勢いで、鯨をめぐる議論は多様に、そして複雑になっているように思われます。同行講師の岸上伸啓先生は長年、イヌイットの生存捕鯨について研究されてきました。文化人類学の立場からの研究は、異なる時代、地域、文化における鯨と人との関わりについて複眼的に考える視点を提供してくれます。先住民と狩猟をめぐる議論も含め、鯨と人の歴史と今後について考えてみましょう。

今回訪問する高知県は、古式捕鯨から商業捕鯨の終末まで360年にわたって継続して捕鯨がおこなわれてきた土地です。捕鯨の盛衰とかつお・まぐろ漁業の関係など、鯨ぬきには高知の漁業、文化を語ることはできません。キラメッセ室戸 鯨館の元館長・多田運さんにご案内いただきながら、資料館や史跡を訪ねます。宿泊する室戸岬のホテルは太平洋の目の前。弘法大師空海の御厨人窟やジオパークに指定されている景観もあわせて楽しみましょう。

<1日目>
高知県立歴史民俗資料館にて展示見学とセミナー
セミナー「鯨と人の関わりの歴史」について
講師:岸上伸啓(国立民族学博物館教授)
資料館見学では学芸員の方の解説もお聞きします。
吉良川の町並み(伝統的な建造群)、室戸岬経由で宿へ

<2日目>
室戸市内の捕鯨関連史跡、キラメッセ室戸 鯨館の見学
多田 運氏(キラメッセ室戸 鯨館元館長)の案内で捕鯨関連
史跡を訪ね、土佐の捕鯨の歴史についてもお聞きします。
講師:岸上伸啓(国立民族学博物館教授)
多田運(キラメッセ室戸 鯨館元館長)