第74回体験セミナー 遠山霜月祭見学 ─ 神と人が集う夜

第74回体験セミナー 遠山霜月祭見学 ─ 神と人が集う夜

2016年12月10日(土)、11日(日)

天竜川流域に位置する山深い土地、三河、信濃、遠州の三地域が接する一帯には、冬季におこなわれる、湯立てを組み込んだ祭が分布しています。遠山霜月祭もそのひとつで、冬至を迎え、一年でもっとも日照時間が短くなる霜月(旧暦一一月)に祭が執りおこなわれます。諸国の神々を招いて湯を献じ、自らもその湯を浴びて邪を払う――。神と人が夜を徹してともに集い、次の春も実り豊かな里になるよう願う祭、それが遠山霜月祭です。

現在遠山地域には、霜月祭をおこなう神社が10社あり、いずれも「禰宜」とよばれる民間の宗教者を中心とした村人たちが祭を担っています。祭場を整えて湯を立て、全国から招いた神々にその湯を献じたのち、地元の神々と遊んで(面の登場)、身を清めるという一連の流れがありますが、湯を立てる釜の数やつくり、笛や銅拍子の有無、面の数や種類など、細部は地域によって異なります。

第74回体験セミナーでは木沢系と上町系の本祭の一部を見学し、下栗系の祭に携わる方からお話をうかがいます。あわせて、祭を支える遠山郷の民俗や、一帯で300近い面を保有することを踏まえたうえで、仮面のもつ文化的な意味についても考えてみたいと思います。

【12月10日】
飯田市美術博物館見学・講師レクチャー/木沢正八幡神社の本祭(一部)に参加

【12月11日】
遠山郷土館見学/下栗拾五社大明神にて地元の方から話を聞く/上町正八幡宮の本祭(一部)に参加/まつり伝承館「天伯」見学

第73回体験セミナー 目と舌で知るネパール―映像鑑賞と国民食「ダール・バート」を手で食べる ─

第73回体験セミナー 目と舌で知るネパール―映像鑑賞と国民食「ダール・バート」を手で食べる ─

2016年9月30日(金)11時~15時

みんぱくが取材した映像番組を鑑賞しながら、ネパールの国民食「ダール・バート」をいただきます。

北海道の1.8倍ほどの面積のなかに、標高差の異なる自然環境と、多様な価値観をもつ人びとが暮らしを営むネパール。ことばや慣習もさることながら、食文化ももちろん多様です。そんななか「ダール・バート」は、「ダール(豆のスープ)」「タルカーリー(カレー風味のおかず)」「アチャール(漬物)」「バート(ご飯)」で構成され、味付け等に地域差はあれど、ネパール全域で食される、いわば国民食。食事の準備や食べ方、食材や調理/飲食の場、そしてとくに重要な衛生観念など、「食」を通して、ネパールの根底にある文化や価値観に迫ります。

映像は『山村の結婚式』(2013年撮影)、『ガイネ』(1982年撮影)を鑑賞します(「ガイネ」は現在「ガンダルバ」と呼ばれる元楽師カーストです)。婚姻儀礼と伝統楽器の演奏の在り方に着目し、「都市と地方」、「王制廃止以前と以降」といった地域的、時間的比較も踏まえながら、ネパール社会の変化・変容をさぐります。みなさん、ぜひご参加ださい。

※食事はフォーク等の用意もあります。

第72回体験セミナー 長良川鵜飼漁見学 ─ 鳥と語らい、川とともに生きる

第72回体験セミナー 長良川鵜飼漁見学 ─ 鳥と語らい、川とともに生きる

2016年7月14日(木)、15日(金)

濃尾平野を流れる木曽三川のひとつ、長良川。ここで毎年5月11日から10月15日にかけて長良川鵜飼がおこなわれています。 長良川鵜飼は平安の時代から続けられ、1300年以上の歴史があります。かつては織田信長や徳川家康といった武将に愛され、鵜飼観覧による接待や将軍家への鮎鮨の献上などがおこなわれていました。鵜匠たちはその時々の権力者の庇護を受けており、土地の諸役を免ぜられ、苗字帯刀も許されていたといいます。現在、長良川鵜飼には六人の鵜匠がおり、いずれも世襲制の宮内庁式部職です。この鵜匠たちによって宮内庁の御料場でおこなわれる鵜飼を「御料鵜飼」といいます。年間8回おこなわれる御料鵜飼では鵜が捕った魚を皇居へ献上したり、駐日外国大使夫妻などを招待して日本の鵜飼漁を紹介したりします。この体験セミナーがおこなわれる2016年7月14日も御料鵜飼の日になります。(宮内庁式部職の職務としておこなわれる御料鵜飼は一般に公開されていません。私たちが見学するのは、御料鵜飼の終了後、一般に公開される鵜飼漁です)

長良川鵜飼は2014年に国の重要無形民俗文化財に指定されました。鵜飼漁だけでなく、漁を下支えする漁具の製作や鵜飼舟の造船技術、観覧船の操作技術、鮎鮨の製造技術などが評価されてのことです。これに続き、岐阜市は長良川鵜飼を、金華山など周辺の自然景観も含めたかたちでユネスコの無形文化遺産に登録することを目指しています。

第72回体験セミナーでは、1300年を経ていまなお続く長良川鵜飼を舞台に、鵜匠宅や博物館を訪問し、鮎鮨の賞味や鵜飼漁の見学をとおして、長良川鵜飼の「いま」をさぐります。自然と向き合う暮らしのあり方にも注目するこの機会、是非みなさんご参加ください。

【7月14日】
長良川うかいミュージアム見学/杉山秀二鵜匠宅訪問/鵜飼漁見学

【7月15日】
金華山登山/造船技術の説明/鮎鮨・鮎雑炊賞味

第71回体験セミナー ※本旅行は定員に達しました。ありがとうございます。 九州のなかの朝鮮文化を歩く ─ 菓子、工芸、史跡にさぐる関係史

第71回体験セミナー ※本旅行は定員に達しました。ありがとうございます。
九州のなかの朝鮮文化を歩く ─ 菓子、工芸、史跡にさぐる関係史

2015年12月2日(水)、3日(木)

海を挟んで朝鮮半島と隣接する九州北部。古来、この〈海の道〉を伝って多くの人や物、文化が朝鮮半島から日本に運ばれました。なかでも佐賀県は、豊臣秀吉の朝鮮出兵の折、日本における前線基地となった歴史をもちます。時は桃山文化の全盛期。日本では茶の文化が隆盛を極めていたこともあり、陶磁器の技術をはじめ、染織や製紙、そして菓子に代表される食文化等、さまざまな文化が朝鮮半島からもち込まれ、その後の九州北部の文化形成に大きな影響を与えました。

第71回体験セミナーでは佐賀県を訪問し、県内にのこる朝鮮文化の足跡をたどりながら、日本と朝鮮半島の長い交流の歴史について理解を深めます。また、佐賀県を含む肥前は、別名「シュガーロード」ともよばれる長崎街道が走り、南蛮文化の伝来以降、多彩な菓子文化の育った土地です。本セミナーでは朝鮮半島との相互影響をうかがい知ることのできる鈴型の焼菓子「松露饅頭」を紹介すると同時に、村岡総本舗羊羹資料館を訪問し、朝鮮半島ゆかりの菓子、そして小城羊羹をはじめとする肥前の菓子文化についてお話をうかがいます。

【12月2日】
名護屋城跡/朝鮮半島と日本の交流史を概観する名護屋城博物館/唐津焼の工房/朝鮮半島の菓子との相互影響をうかがい知ることができる松露饅頭の店

【12月3日】
村岡総本舗羊羹資料館/鍋島更紗の染織資料館/唐人神社/佐賀市内の唐人町の礎を築いた李宗歓、鍋島更紗の始祖・九山道清、儒学者で書家として名を成した洪浩然の墓、菩提寺を訪問

第70回体験セミナー 日本の食文化 ─ 昆布に親しむ

第70回体験セミナー 日本の食文化 ─ 昆布に親しむ

6月25日(木)10時半~15時

日本の食文化をささえる、縁の下の力持ち「昆布」。 昆布じめや昆布巻、佃煮はもとより、日々口にするさまざまな料理にうま味を与える昆布は、日本がほこる貴重な食品です。動物性油脂分に「美味しさ」を求める地域が主流であるなか、良質の昆布が育つ環境に立地したことにもあいまって、日本では「昆布だし」の文化が発達しました。そんな身近な食品が、食の欧米化にともない、私たちの食生活から姿を消しつつあります。本セミナーでは、身近な食品にして、じつはあまり知られていない「昆布」を、食と、食をささえる生業の双方から再考します。

【実施内容】
・講義:「生業や資源利用から昆布を考える」(飯田卓)/「食から昆布を考える」(土居純一)
・昼食:精進料理を味わう
・ワークショップ:だしの取り方講座/映像資料「こんぶ漁」の鑑賞/昆布実物の見比べ

※ お土産に「こんぶ土居」の昆布加工食品をお持ち帰りいただきます。
※ 諸事情により内容を変更する場合があります。