123号 2008年 新春

機関誌
村のバイオリン弾き
文/写真・鈴木 文恵

特集 ヨーロッパを逆照射する

写真・鈴木 文恵、星野 佑佳

ヨーロッパ。この地域では、過去幾度も統合と分裂が繰り返されてきた。 そして、二度にわたる世界大戦、東西冷戦を経た現在、高い経済力を追求する西ヨーロッパ主導の地域統合が進行し、いまやその範囲は、旧共産主義国はもとより、イスラーム世界までおよぼうとしている。 EUの拡大は、ヨーロッパ拡大と同義なのだろうか。そもそも「ヨーロッパ」とは何なのだろうか。 本特集では長い歴史を通して様ざまな関わりを有してきた「隣人」の視点から、統合を主導する西ヨーロッパを見つめ直す。

ギリシャ ヨーロッパとバルカンの架け橋
内山 明子

周辺国家の悲哀 ルーマニアの教会合同にみる西欧化の圧力
新免 光比呂

フーリガニズムと現代の戦争 セルビアにおけるアルカン伝説
文・佐原 徹哉

境界の国、エストニア
小森 宏美

北アフリカとヨーロッパ
宮治 美江子

ユダヤ人 ヨーロッパの「内なる他者」
文・臼杵 陽

ヨーロッパ統合時代のロマ UnionからForumへ
久野 聖子

朝食に暮らしあり10
台湾戦後史と朝食文化
木村 自

ケニアの民間開発
石田 慎一郎

チャム
チャンパ王国の末裔

吉本 康子

かつて「海のシルクロード」の中継地として、海上交易国家を築いたチャンパ王国。今もベトナム中部の平地には、チャンパ時代に築かれたヒンドゥー寺院が点在する。そのチャンパ王国の末裔であるチャム族の人びとは、ベトナムを中心に、メコン・デルタ、カンボジア、タイ、マレーシア、はては欧米にまで離散している。その多くはイスラーム教徒だが、故地であるベトナム中部南方では、ヒンドゥー教が土着の信仰とまじりあったバラモン教、それらにイスラームの要素がはいったバニ回教、スンニ派イスラーム教を信仰する集団が混在する。ひとつの民族でありながら他宗教の社会を形成するようになった歴史的経緯と現在の生活を紹介する。

再見細見世界情勢8
ミャンマーの混迷
政治対立の構造と今後の展望
伊野 憲治

海人万華鏡第10回
獲る漁業から育てる漁業へ 揺れ動く海水養殖
living through the pendulum swings
文・あん・まくどなるど
写真・礒貝 浩

大インダス世界への旅
第3回 もうひとつの世界の屋根 カラコルム

船尾 修

中央アジアとインド亜大陸を分ける大障壁カラコルム山脈。「世界の屋根」の別名をもつヒマラヤに匹敵する高峰を有する「もうひとつの世界の屋根」である。そのふたつの世界の屋根にはさまれた狭い谷間をインダス川は西へと向かい、無数ともいえる氷河から溶け出した白濁した流れを途中で受けとめる。

本で会いましょう22
『東南アジア年代記の世界ー黒タイの「クアム・トー・ムオン」』
社会主義時代に断絶した民族の伝承が国家の歴史に
樫永 真佐夫さん(インタビュー)

書架はいざなう
神社を訪ねて
八杉 佳穂

国立民族学博物館ミュージアム・ショップ通信

【地域(国)】
東アジア(日本)
東南アジア(ベトナム、ミャンマー、パキスタン)
西ヨーロッパ
東ヨーロッパ(ギリシャ、ルーマニア、セルビア、エストニア)
東アフリカ(ケニア)
北アフリカ(チュニジア)