120号 2007年 春


ニューデリーの商業地域コンノート・プレイスにて
大村次郷

特集 インド社会の現在
もうひとつのFashioning India

写真・大村次郷

1990年代以降、急速な経済成長を続けるインド。従来のイメージを覆す、IT産業に象徴される映像が、いまやステレオタイプにまで昇華し氾濫している。一方、華やかな映像は、普通に暮らす人びとの実態、長い歴史のなかで培われた文化を覆い隠しているのではないだろうか。「インド社会の現在」について、さまざまな視野から考察し、実像に迫る。

 

キリマンジャロの人びと

辻村 英之

世界でもっとも多く飲用されている嗜好飲料のひとつであるコーヒーは、コーヒーベルトと呼ばれる、北回帰線と南回帰線のあいだの地域で生産されている。アフリカ大陸最高峰を誇るタンザニアのキリマンジャロ山も、そうしたコーヒー豆産地のひとつ。その山中にはチャガの人びとが住み、古くからコーヒー豆を主産物としてきた。ところが、政府からの補助金の打ち切り、流通の自由化とコーヒー豆の国際価格の低迷などにより、農家をめぐる状況はさまざまに変化しつつある。山の西側中腹に位置するルカニ村に暮らす人びとは、「コーヒー危機」からいかなる影響を受け、それをいかにのりこえようとしているのか。「女性産物」の役割や、生産者支援活動「フェアトレード・プロジェクト」とともに紹介する。

 

砂漠に暮らし、ラクダとともに生きる

常見 藤代

エジプト東方砂漠に暮らし、遊牧生活を営んできたホシュマン族。彼らの多くが町での生活に移行するなか、砂漠でラクダとともに遊牧生活を続ける女性、サイーダ。サイーダの生きざまと、彼女が語る砂漠で生き抜くための知恵を三年にわたってとらえた

【地域(国)】
南アジア(インド)
オセアニア(ヴァヌアツ)
東アフリカ(エチオピア、タンザニア)
北アフリカ(エジプト)